『無雙直伝英信流嘆異録』
8.生気のない居合のこと
【要旨】
業に丸みがなければ真の居合ではないという高段者がいるが、言葉が足らず初心者を惑わせてしまうので危険である。
居合が敵と戦う戦闘術である以上、相手を貫く気迫が前提であり、その上で丸みがあって気品のある活き活きとした躍動感のあるものでなければならない。
見る人が「気が抜けた」ように感じる居合とは、もともと平素の修練が足らないひとによく見られるもの。
初心の間は固くごつごつしても力と心の入った修練をこころがけ、これに幾千万の錬磨を積んで習得出来る丸みこそが本当の「丸み」というものである。戦闘術であることを肝に銘じ、冒頭のような言葉に惑わされず力と気の抜けた居合を理想とは思わない事。【解説】
歳を取ってくると体力や気力が減退しますし、足腰だって若い頃に比べればやはり衰える。そんな状態でも嗜めるのが居合の良い所ですが、当然無理は利かないので若いころの様な溌溂なものは望めなくなる。
そんな状態を受け入れられず、強がって「これこそ居合」というようなことを初心者に教え聞かせるとするならば、それは害悪にしかなりません。
ご自分は若い頃、しっかり出来ていた物が枯れて来たという状態かも知れませんが、「そんなもの」と鵜呑みさせられた若者は堪った物ではない。自分はこうしか出来なくなってしまったけど、正しくはこうだ!と後進に教え導く度量を持ちたい物です。