一本目:前(まえ)動画(.mov 2,053kb)
基本中の基本業。正座の居住い、鞘手・柄手の掛け方、刀の抜き方、抜き付け方、斬り下し方、初伝血振るい、居合腰、刀の納め方、残心・・・大切な基本が揃っています。
いつでも、今でもここから始めます。そしてよく師に直されます。いつでも新たな発見があります。
業が進めば進む程、この業の「難しさ」に演武をするのが怖くなってきました。
なめてはだめ、深める事を怠ってはなりません。
【状況】
正面に相対して座すものの害意を察知し、相手が刀を抜く前に敵のこめかみ※1に抜き付け、さらに上段から斬り下してとどめを刺す。
※1:諸説あり。首であったり肩口であったり。相手の体格によるんじゃないですかね・・
【所作】
膝は広げず、足の親指は重ねない。肩の力を抜き、力まないこと。仮想の敵は殴れば届く位置にいる事を忘れぬこと。
←この位近い!
自然に、いつかかったかわからぬ様に。ゆっくりではない。そおっとでもない。
参照:居合道真諦嘆異録「4.右手のかかり手のこと」
鍔を押す親指は指の腹を切らない様に刃の真上辺りではなく、少し内側(体側)を押す様にする。
←柄頭側(相手側)から見た鍔のイメージ。親指の位置に注意。
刀の柄頭を敵の顔(眼)に向け、抜き出す刀身が敵から見えない様にゆっくり抜き出す。最初はゆっくり、徐々に早くする。鞘は45度を意識して徐々に傾けていく。抜き出すときは、右肩を入れる様にする。※1
※1:これも下手に書くと師に怒られるかも知れないのですが、どの本にも書いていないことです。「右肩を入れる」とは、上体を左に捻る様にするという事。刀だけで斬るのではないということです。上体が前に突っ込まないように注意!
切っ先が鯉口に残り数センチ程度のあたりで、鞘を腰にそわせ後ろに引く「鞘引」※3とともに左膝をつけたまま支えにして右足を一歩前に踏み出しつつ※2抜きつける。
「落とし」※3はここで意識する。抜き付けた右手は肩の高さ、切っ先はまっすぐ前より少し内側に入る感じ。目付は敵を見据え、切っ先を見てはいけない。
抜き付けの一刀では胸を張り、「入れ」ていた右肩を開くようにする。※4
※1:居合の本義である抜き付けは、鞘の内から一気に斬りつけるから威力も効果もある。抜いてから斬るのでありません。
※2:踏み出すとき右足を「トン」と鳴らすと・・・という記述のある本があります。某ビックリビデオでもそのようにされていますがはっきり言って滑稽です。タイミングを身につけるため、そのような練習をするというのはありかもしれませんが、音を立てないこと、そして「足至り、腰至り、刀至る」が基本であり、剣道の打突とは違います。
右足を浮かせるのは間違いです。
※3:鞘引・落としをしっかり身につけていないと(本身では)鯉口とともに人差し指の根元を切裂いてしまう事があるそうな。師も左手が使えなくなった人を何人か知っているとの事。うげーっ痛そー!ちなみに「落とし」は口伝なので詳細は書けません。ごめんなさい。
※4:大切な事なのですが、刀だけでは斬れませんし、手の内の働きだけでも斬れません。腕力だけに頼っては、抜き付けた刀は止まらないことでしょう。「骨格で斬る」とは修心流/町井さんのお言葉。入れていた右肩を開くとは、ねじっていた上体がほどける力と腰のキレをも刀に伝えるという事に他なりません。
神伝流の抜き付けは上体が半身になるようですが、このような上体の使い方を前提とする英信流では半身になることはあり得ません。(これも「口伝だ!」と師に怒られそうだなあ・・・)
剣道の様に背中に当たる様な振りかぶり※2はしない。切っ先の下がりはせいぜい30度くらい。
※1:ちょんまげを結っているとして、丁度鍔がそこに乗る感じ。
※2:剣道では両手が後頭部まで行くことがありますね。背中や尻を自分の竹刀で叩く感じまでいきます。でも面を着けているとさすがに引っかかる事がありました。剣道の上段の構えに近いですが、剣道では切っ先が右に傾く人が多いみたい。あれで刃筋が通るのかなあ・・。
右手は強く握らず軽くそえ、左手で刀をまえに投げる様に振り下す※1。
力で斬るのではなく、刀が斬るようなイメージ。振り下したとき左手は臍の前10cm程度のところにくる。左右の手を内側に絞り込んで切っ先を止める。※1:武蔵の「五輪の書」にもあるように、手の内の働きは大切。小指、薬指と親指付け根の腹で強く握りつつ、中指、人差し指は軽くにぎる。
両手を使うときしっかりと握るのは左手、右手は自由な働きをさせ、臨機応変に強く握ったり滑らせたり。
左手を柄から離して左腰骨盤の辺りに添え、右手は刀を右に大きく開く様にする。切っ先は常に鍔元より低く、しかし低過ぎてもだめ。伸ばした右腕が体の右横に来たあたりで今度は拳を頭の方に巻き込む様にし、柄で敬礼するよう形に持って行く。刀は正面から見て外側に30度程度外側に開き、かつ45度程度切っ先下がりとなる※1。柄を持つ右手は耳の辺りにあり、胸を張る様にし肘が落ちない様にする。
右手の働きにより、刀身が頭の上を通り前髪をかすめる様に大きく前に降り出す※2。同時に左足を右足に引きつけ居合腰※3となる。右手が右斜め前の位置、切っ先は敵の突然の動きに応じられる様に少し内側に向く。
参照:居合道真諦嘆異録「9.鞘手のこと」 参照:居合道真諦嘆異録「6.血振るいのこと」
※1:この時右手の人差し指と親指はしっかり、小指に向かうにつれ引っ掛ける様に軽く握ることで切っ先が下がる事になります。
刀の重さもあり、右手は後ろに引っ張られる様になるので、意識的に肘を持ち上げれば胸が張る様になります。
※2:刀身についた血糊を振り飛ばすので、樋鳴りがする位勢いよく動かします。右頭を削いだ人はいないと思うのですが、そんな危険を感じる刀操でもあります。
※3:中腰というほど落とさなくても、膝を充分に屈し(90度くらい)、上半身は前に少し傾きます。
右足を大きく一歩後ろに引く。この時居合腰の状態から腰の高さが変わらない※1こと。
鯉口のところに人差し指と親指でさらに鯉口を作るようにし、刀は物打ちの辺りの峰が左の二の腕に当たるようなイメージで鍔から25cmあたりの峰(「刀の腰」という)を人差し指と親指のあいだの水かきの所に当て、右45度にむけしごく様にして切っ先を鯉口に落とし、柄頭をまっすぐ敵の方に向けつつ(抜刀のときと同じ)右膝を落としながらゆっくりと刀を鞘に納める。刀は鞘の中で峰を滑らし、刃や鎬を鞘の中に当てないこと。鞘を少し前に出しつつ膝が床に着くのと同時に刀を鞘に納めおわる。このとき鍔が膝より前に出ていない様に気をつける事。
※1:右足を大きく後ろに引いた状態は、まっすぐ立っているより当然腰が低くなります。で、居合腰の高さがそれなりに低くないと「ひょこっ」という感じで腰が落ちるのでかっこわるいです。
なにより隙が生じます。
※1:師に教わったのは、勝ちを制したあとでも敵にまだ息がありいきなり反撃してくる可能性を考え、柄頭に移した右手でもいつでも刀が抜けるようにしておく事。
単に柄頭を「持つ」たり「なでる」ようなのは問題外。